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at Mozarthaus Vienna

2019年8月28日(Wien, Österreich)


 帝都を守護する城壁を潜り抜けると、華やかなファッションと革新の機運が漲った高揚感で溢れていたことでしょう。18世紀末、ウィーンの城壁内には約5万人が住んでいたと言われています。ザルツブルクの雪解けを待ち、ウィーンにやってきたモーツァルトのはしゃぎようが目に浮かびます。
 最近まで「フィガロハウス」と呼ばれていたDomgasseの建物(今日の Mozarthaus)は唯一現存するモーツァルトの住居(ウィーンでの11年間に13回の引っ越しをしている)で、《フィガロの結婚》を作曲したことで知られています。当時は皆が憧れる豪華な高層ビルで、天性のセンスで時流を諷刺するには最良の場所だったのかもしれません。初演時に「今日において、語ることを許されないものは、歌で表現される」と評されたとおり、モーツァルトは時代を音楽に昇華させていきました。
 モーツァルトハウスでは、サミュエル・モールスの描いた謎めいた人物ダ・ポンテが静かに物語るように、《魔笛》や《ドン・ジョヴァンニ》を経て、死へと至る《レクイエム》までのモーツァルトのミステリアスな生涯を追うことができます。
 偉大な歴史上の人物は、解答より疑問を多く残します。そしてその疑問の数だけ私たちは根源的なものへと導かれ、観念から出発してはいけないと教えられます。無心で歴史を見て、楽譜を読む。すると楽譜の方から「モーツァルトとは何か?」という問いに答えてくれる時があります。今回の旅はザルツブルクへと続きます。

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