18/11/2015(Frankfurt)マックス・ベックマンが『フランクフルト中央駅』(1942年、シュテーデル美術館所蔵)の中で、何でも見ることのできる眼を持つ黒猫を置いたのは、彼らしいアレゴリカルな仕業でしょう。猫の歴史は古代エジプトの終焉を見届けたことに始まります。バロックの闇夜に鳴いた猫は、世紀末のパリ・モンマルトルに再び姿を現して、"Le Chat Noir" に住処を定めました。黒猫はテオフィル・スタンランによってその生を永遠のものにしましたが、ポスターに描かれた姿は、長い歴史を見守る守護神のような、しかし不気味な眼差しを有しています。そんな黒猫の視線を感じながら、私は帰国の途に。
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