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オンラインセミナー「シューマン 子供のためのアルバム」Vol.2 のお知らせ

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 ハインリヒ・ハイネが"Im wunderschönen Monat Mai"(麗しき5月に)と謳った春。しかし今年ばかりは、心の中のつぼみが全て開くことなく、庭に咲く色とりどりの花は色褪せて見えました。父の書棚にハイネ詩集があったのをふと思い出し、朝から《詩人の恋》を聴いています。イエルク・デムスのピアノで聴くフィッシャー=ディースカウの歌声には喜びとも憂いとも言えぬ、遠い眼差しがあるばかり。楽譜を開くとレッスン時の殴り書きが痛々しく、その乱筆の草陰で繭のように息を潜めている音楽がひときわ愛おしく思えます。


 シューマンが長女マリーエを授かるのはその翌年のこと。幾たびもの春を経験したシューマンが次に描いた5月は、《ユーゲントアルバム》に収められた〈5月、愛する5月〉。少しでも指先に力を加えたら潰れてしまうのではないかという柔らかさな皮膜に覆われ、春の香りを秘めている曲。主題は〈麗しき5月に〉と同じ長6度を含むアラベスク動機(cis-h-gis-fis)で作られていますが、音楽がすべてシューマンの心情変化を物語っています。
 世界的にCOVID-19が収束したら、久しぶりにハインリヒ・ハイネ研究所を訪ねたい。デュッセルドルフはライン河の豊かな恵みを享受したロマン派の故郷。デュッセルドルフに住んだシューマンやメンデルスゾーンの自筆譜が多数保管されており、imslpに収納されている画像からは伝わらない肉声が、その筆致から聞こえてくるからです。


 このような状況の中、シューマンに思いを巡らせることは感慨深く、楽譜や書物、私自身の経験や旅を通して作曲家に触れられる機会に感謝しています。第2回は《ユーゲントアルバム》第7曲から続けます。


赤松林太郎によるピアノ指導者オンラインセミナー
シューマン「子供のためのアルバム」Vol.2

2020年7月21日(火) 10:00-11:30
https://seminar.piano.or.jp/detail/10000970

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