16/5/2016(東京)音楽は光を受けなければなりません。光を受けた音は道を示し、私たちに様々な情景を見せます。とりわけ長い歴史を抱くイタリアは、多くの街道を築き、人を送り続けてきました。リソルジメントの機運が高まる中でヴェルディはミラノに向かいましたが、一方でレスピーギはカトリックに導かれるようにローマに留まり、グレゴリアンの音を見い出しました。思い出すべきは人間の男と女のオリジナルを忠実に描き上げたフェデリコ・フェリーニ監督の『道』で、この作品自体が一つの真実の街道なのかもしれません。フェリーニの描くヴェズリモに乗ったニノ・ロータは、その道すがらレオンカヴァッロの影を追ったのは間違いないでしょう。いずれにしても、イタリアには永遠から永遠へと続く道があり、尽きることなく溢れ出でる光によって、その並木は夥しい実を付けました。アンドレア・バッティストーニのタクトもその一つ。彼は音楽の使徒として、やがて永遠の存在になるのでしょう。今宵東京フィル。
http://www.tpo.or.jp/information/detail-20160228-02.php
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