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Des ivoires en Paris - après une visite du Musée de Cluny.

2020年2月13日(Paris)


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数世紀にわたる象牙不足の後、ヨーロッパで供給が再開したのは13世紀半ばのこと。パリを中心に象牙を用いた工芸品が次々と誕生して、多くの聖母子像も象牙で象られました。一方で中世は愛と騎士道の時代でもあり、クリュニー美術館に展示されている《愛の城の箱》では側面と背面にアーサー王伝説が刻まれ、左側ではトリスタン物語からの2場面が確認できます。


人間の美への欲望は止まるところを知らず、陸ではゾウが乱獲され、海ではイッカクが同じ悲劇を辿ります。イッカクの角はラテン語によって合成された「ユニコーン」(ūnus+cornū=ūnicornis) の角となり、馬の額に移植されました。この一角獣は長らく貴婦人と共にタペストリーの中に封印されていましたが、ジョルジュ・サンドが小説で取り上げたことで広く知られるようになり、フランス中部のブーサック城からパリに移されました。


《貴婦人と一角獣》は人間の5感覚をそれぞれ寓意的に表現した5帳と〈A mon seul désir 我が唯一の望みに〉と題された1帳のタペストリーから成ります。褪せつつあるタペストリーの紅色は世紀末パリの頽廃した空気に呼応して、独特の魅力を放ったことでしょう。こうして幻想都市パリの住人となったユニコーンは、獰猛な獣でありながら純潔な女性に抱かれると大人しくなるという性格から、ギュスターヴ・モローの懐に深く忍び入ることに成功したのです。


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