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動画で旅する音世界 | YouTube撰 (2)


音楽は演奏者の情念が技巧に勝った時に感動を生む。「ピアニストではなく音楽家になりなさい」とは亡き師の格言だった。このチョン・キョンファの演奏は、解釈や技術という範疇のものを吹き飛ばし、情念のみが宿っている点でまことの狂気。凄いものを見たという一言に尽きる。



キリル・ペトレンコ×BPO(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)の蜜月時代の到来を確信した《法悦の詩》。スクリャービンが常に太陽に向かっていたことを証明するかのような拡がりと静寂。とりわけ終結部に入る前のグランパウゼ(その時のペトレンコの表情)は、スクリャービンのピアノソナタを弾く皆に観てほしい。



〈ソナチネアルバム〉ゆかりの作曲家を調べていると、マリー・アントワネットがキーパーソンに浮上する。グルックに師事しており、作曲家としても決して悪くない。パリでクレメンティの演奏を聴いた翌年、ウィーンにいる兄(ヨーゼフ2世)がクレメンティとモーツァルトを競わせたのは偶然だろうか。



ヴァイマルのリストの家にあるベヒシュタイン。イディル・ビレットによる《伝説第1番》は重力奏法への誤解を解くすばらしい演奏で、ロマン派の人たちが愛でた音が甦る。ピアニストの指先の繊細な感覚が見事に伝わってくる映像。



平成生まれの面白いチェンバロ奏者がフランスから続々出ている。片腕だけに重いブレスレットをすることで知られているジャン・ロンドーもその一人。ブラームス編曲の《シャコンヌ》をチェンバロで弾く斬新さは、むしろバロックへの回帰にも感じられ、その才能とセンスに脱帽。



SATCくらいの軽い気持ちで見始めた《モーツァルト・イン・ザ・ジャングル》だが、4シーズン40話で描かれていたのは、意外にも音楽の真実だった。



来日中のアンドレイ・ガヴリーロフが各地で繰り広げている爆演について、激しい感想がTwitterに並んでいる。若かりし頃の爆演も新鮮だったが、今日の「開き直り」方は彼らしい在り方で、リヒテルが彼に何を言おうが、最後まで芸術家としての彼の生き方を見守りたいと思う。


※twitter(@officelaparade)でのツイートから転載・一部加筆したものです。
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