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動画で旅する音世界 | YouTube撰 (3)


ネルソン・フレイレは真に神に愛された才能。心から羨ましい。はたして私は38歳の時にこれほど美しい世界が描けただろうか。自然の摂理に逆らわず、自然の持つ美しい曲線に身を委ねている。初めてデュッセルドルフで彼の横に座った時に抱いた柔らかい空気感が、そのまま演奏となっている。



オックスフォード大学の公開講座で、内田光子がまずピアノ協奏曲のオーケストラパートを鮮やかに弾いてみせる。ソロパートより明らかに高度だ。彼女が言うように、作曲家や作品によって全てが異なる。それをまずオーケストレーションから読み取って、ピアノで追求するという知的な作業を、はたしてどれだけの学生がしているだろう?



《焔に向かって》。同じVladimirでもソフロニツキーが弾くと妖艶になり、ホロヴィッツは太陽のフレアのごとし。スクリャービンは晩年作に至るほど、演奏者の観念が直接的に反映するように思う。だからスクリャービンを弾く学生には、まずこの作品の印象を問うようにしている。



ヒナステラのハープ協奏曲は極彩の密林を想わせる、プリミティブにして徹底的にモダンな作品。貴公子グザヴィエ・メストレの十八番だが、今年春に動画と同じウィーン楽友協会ホールで聴いた時は手元をほとんど見ることなく、降臨した大天使のごとく余裕と威厳に満ちていた。



バロックのスタイルが瞬く間にエレキギターの世界に早変わり。クラヴィコードという数百年前の楽器に触れて、即興的に新しい時代の紡ぎ出せるフリードリヒ・グルダというとてつもない天才に脱帽。しかも《リコのために》はユーモラスで大きな愛情に包まれている。



90年代のIRCAMでも特異な作曲家として知られたヤン・マレスが、ラヴェルのヴァイオリンソナタを協奏曲にアレンジ。第1楽章は原曲では感じることのないコルンゴルト的ユートピアが広がり、ルノー・カピュソンの美音にうっとり。ハリウッドにも受け入れられる交響詩に変容。



ヤン・マレス編曲のラヴェル《ヴァイオリンソナタ》には驚かされたが、この曲の決定版を一つ挙げるとするとやはり米元響子。人差し指ではなく不器用な親指でピッチカートをすることで、ブルース感がより際立ち、若さと伸びやかさが相まって最高にエキサイティングな演奏!


※twitter(@officelaparade)でのツイートから転載・一部加筆したものです。
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