Filarmonica della Scala with Riccardo Chailly at Lucerne Festival

24/8/2017(Luzern)
ルツェルン夏の音楽祭はヨーロッパ音楽の精華を聴くことができる1ヶ月。今宵はリッカルド・シャイー指揮、フィラモニカ・デッラ・スカラ。ブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いたレオニダス・カヴァコスは、澄んだ音色で格調の高さを失わない一方で、極めてコントラストの効いたテンポ感でオーケストラを統率しました。往時のパガニーニを彷彿とさせる風貌のままに、超絶技巧で魅了するカリスマを持っているカヴァコスですが、この協奏曲のフィナーレで見せたアプローチは「21世紀のヨーゼフ・ヨアヒム」とも言うべきものでした。そのことはイェネー・フバイ一門の演奏を聴くことで明らかでしょう。後半のレスピーギは、シャイーの独壇場でした。彼らの『ローマの噴水』『ローマの松』からは、幾十ものイタリア映画で描かれてきた情景が鮮やかに呼び起されました。レスピーギの交響詩はローマの一日を描きましたが、6時のローマはまだ闇に包まれ、地上の真実を覆い隠すヴェールなのです。そこから静かに現れる上昇音階は、まるでクイリナーレの丘へと続く坂道。紀元前1200年頃に始まるクイリナーレの丘を想い起こすと、音楽そのものが歴史の語り部のように感じられ、眺望絶佳の丘からテヴェレ川向こうに見える夜明け前のサンタンジェロ城は、さながら『トスカ』の第3幕を彷彿とさせるものです。チューブラーベルはローマに響く鐘そのもの。トスカがそうであったように、ローマの運命も、幾度となく鐘によって示されてきました。ローマは時代ごとに黄昏を経験します。ローマ全体を茜色に染める夕暮れは、大気を最も豊饒なものにしますが、この瞬間にこそ私たちはローマの大叙事詩を感じることができるのです。レスピーギがこの暁に冠した音楽は、ローマ中の空気に浸透して、無言の感動に包まれます。これはイタリア人の職業芸術家の仕事です。古のケントゥリア(百人隊長)を配したような大管弦楽をもって、壮大な絵巻物語を書き上げたレスピーギの手練手管を、シャイーは誇り高きイタリア人の心で描き上げたのです。
https://www.lucernefestival.ch/
http://www.filarmonica.it

 
 
 
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.24 2017 諸藝雑記 comment(-) trackback(-)

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